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【中村院長】生と死

今年4月、初孫が生まれた。
元気な男の子で、すくすく育っている。
そして、先日、父が天寿を全うした。
97歳と8ヶ月。大往生であった。

さて、両者を見て、生きるとは何か、死とは何か、「生命の真理」をあらためて学んだように感じた。

孫は生まれて、乳を飲み、物に反応するようになり、首が座り四つん這いになり、寝返りをうてるようになってきた。この先、離乳食を食べ、座り、掴まり立ちをして、やがて歩くようになるのであろう。

一方、父は徐々に足腰が弱くなり、杖をついて歩き、そして歩行も難しくなった。そして物を食べることができなくなり、水分も取れず、最後には枯れるように息を引き取った。いわゆる老衰である。これは、孫の誕生から成長の過程の逆転であった。

点滴や経管栄養で延命することは可能であったが、尊厳を考え、そのまま看取ることにした。ただ、何もせずじっと見守ることは、家族にとって辛いことではあったが、そこに現代医学をもって介入することは、生命倫理に反することのように思われた。

ブラックジャックが、死に行く恩師の本間丈太郎先生を何とか救おうとするも叶わず、落胆する彼の横に現れた本間先生の幻影が発した言葉、「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいと思わんかね…」が思い起こされた。

父は自然の摂理に従って、きっと母親の子宮に帰って行ったのであろう。
 

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