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【吉田副院長】ロービジョンケアについて

眼科医になって20年が過ぎようとしています。

昨年12月初めてロービジョン講習会に出席しました。2泊3日の講習のため、なかなか参加できなかったのですが、本当に勉強になりました。春から眼科にすすむ研修医の先生も参加されていました。眼科医になってすぐでも患者さんに寄り添った治療が可能だと思いますので、非常に有意義だと感じました。

(寮に泊めていただいたのですが、共同のお風呂で、体と頭を洗ったあとにタオルがないことに気付いてしまいました。ドライヤーもなく部屋にタオルを取りに行けず、ある程度自然乾燥するまで脱衣所で凍えていました・・・高校生の頃の部活の合宿以来でしょうか・・・)

ロービジョンケアというのは、視力が低下したり視野が狭くなったりした方が、残された眼の機能を最大限に活用するためのものです。

眼科では、検査をして異常箇所を見つけ、その治療を行います。治療によって眼の状態を正常にできれば、視力や視野は回復します。しかし、残念ながら今の医学ではまだ治すことが出来ず、見にくくなってしまうこともあります。残っている視機能(物を見るための働き。視力や視野、色覚)を最大限に活用し、患者さんが自立して、できるだけ快適な生活を送れるよう支援する眼科医療や福祉のことを、ロービジョンケア(low vision care)と言います。

■視力低下には・・・
拡大鏡を使う、眼鏡・コンタクトでできるだけ視力を出すようにする、 中心が見にくいなら視線をずらして中心外でみる練習をする、などがあります。

■視野に異常があれば・・・
縮小レンズを使う。視力低下に対して用いる凸レンズとは反対に、凹レンズを使うと、一度に見える範囲が広くなります。ただし、像の大きさは小さくなるため、視力があまり低下していない方に向いています。なお、単眼鏡を逆向きで使っても、縮小レンズと同じ効果があり、視野が狭くても通常より広い範囲が見えるようになります。

■まぶしさには・・・
遮光メガネを使う。波長が短く眼の中で散乱しやすい青色の光だけをカットする遮光メガネをかけると、まぶしさがなくなります。ふつうのサングラスは、すべての光を一様にカットするので、視野が暗くなり物を見にくくなります。サンバイザーや帽子をかぶる ツバ付きの帽子も、まぶしさ軽減に役立ちます。

<拡大読書器>
手紙や本などをスキャナーや小型カメラで読み取るなどして、それをテレビやパソコンの画面に拡大表示する器械です。数社から販売されていて、拡大倍率の範囲やその設定方法、オートフォーカス(自動焦点)機能の有無など、性能にそれぞれ特徴があります。

<白黒反転コピー>
コピー機の白黒反転機能を使い、黒地に白の文字にすると、読みやすくなることがあります。文字を書くときには、黒い紙に白インクのペンで書き、それを反転コピーすると、白地の文書になります。パソコン・スマホの画面も黒背景にするだけでかなり見やすくなります。

そのほかにも…

<ロービジョングッズの利用>
視覚障害がある方向けに作られたロービジョングッズ、または盲人用グッズと呼ばれる製品があります。大きな活字で印刷されている本、音声時計、音声電卓、紙幣や小銭を種類別に収納できるユニバーサルデザインの財布、携帯型の文字拡大表示器など

パソコン文書や電子メールの音声読み上げソフト、音声入力ソフトなど、便利なグッズが販売されています。iPad・iPhoneのカメラ機能は便利で、拡大させて簡単に使えます。近い所だけではなく遠い所もカメラで映して拡大できます。アプリで毎日新聞の1面を全部読んでくれるものがあります。スマホやタブレットは使っている方も多いので、使いやすいでしょう。わからなければ、周りの人が教えてくれますし、アップルストアでも親切に相談にのってくださるそうです。

~障害者手帳の取得について~
障害者手帳を取得すれば、公的サービスもいろいろ利用できます。拡大読書器などの購入費の補助は知っていましたが、所得税や医療費の控除、障害年金の支給が受けられるようです。
障害者手帳の取得には、指定医の診断書が必要です。眼科や自治体の福祉担当窓口で相談してみてください。
該当する患者様で手帳は必要ないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、いろいろなサービスについて説明できればと思っています。

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