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椙村益久医師に聞く、その半生と研究への情熱

「スポーツも医療も、必要なのは環境と頑張り」

—— 野球の才能がプロ並みだったと聞きましたが?
中学時代、愛知県大会で準優勝し、中部日本地区選抜にも出場しました。有名高校の他に、中日ドラゴンズのスカウトも来ました。でも、野球の才能以上に父の指導がすごかったんです。まさに『巨人の星』の星一徹のような父親でした(笑)。

—— お父様の指導は厳しかったのですか?
毎朝ノックとランニング、自宅にピッチング練習場もありました。岐阜羽島まで走って新幹線で帰ってくる、なんてこともありました。父の熱意に引っ張られ、私も真剣に取り組んでいました。

—— LASIK手術を受けられたそうですね?
そうです。中村先生がとても手術が上手との評判で、39歳の時に手術を受け、翌日には視力が0.2から一気に2.0に改善しました。まさに別世界となりました。

—— スポーツでは才能が重要ですか?
才能は確かに重要ですが、今のスポーツは科学です。素質だけでは限界があります。データ解析を活用したトレーニングが重要視されています。努力ももちろんです。

—— 医学の研究もそうしたアプローチですか?
ええ。私は、主にナトリウムと下垂体に関する研究をしています。血中の塩分、ナトリウム濃度が低い状態を低ナトリウム血症と言いますが、低ナトリウム血症が、記憶障害(認知症)、骨粗鬆症、転倒、骨折を引き起こすことを見出しました。さらに、その安全な治療法についても研究しています。
また、リンパ球性下垂体炎という難病があり、その診断は難しいのですが、抗ラブフィリン3A抗体という診断マーカーを発明し、日本やアメリカなどで特許を取得しています。
私がアメリカに研究留学した当時は、多くの日本人が留学しており、日本人研究者は高く評価されていたと思います。しかし、現在では留学する大学院生が大幅に減少しています。研究は世界が相手ですので、やはりある程度良い環境で、しっかりと努力しなければ、世界に向けて発信することは難しいと思います。

—— 今後のビジョンを教えてください。
下垂体疾患は、診断や治療が難しいなど、多くの問題が残されています。私たちが見つけた抗ラブフィリン3A抗体や新規診断マーカーの開発の研究に注力しており、これにより腫瘍や炎症の診断や治療がより適切になることを目指しています。また、血中ナトリウム濃度が体や心に及ぼす影響については、まだ多くの未知の部分があるため、解明していきたいと考えています。
患者さんに寄り添い、ベストと考えられる診療を日々実行すること、そして医学の発展に貢献することが私の使命です。

 

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