診察・検査の空き状況

インタビュー・対談インタビュー・対談

一覧に戻る

スゴ腕ドクター座談会 「白内障治療」書籍発刊を記念して座談会を行いました!

中村 今日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。では、早速、多焦点眼内レンズに関する座談会を始めましょう。司会は私、中村が務めさせていだだきます。
それではまず、多焦点眼内レンズ(以下多焦点)の現状について各先生にお聞きしたいと思います。
藤本 私は2002年に日本で認可されて以来使用しており、10~20%の比率でしたが、2007年先進医療に認可され、レンズ種類も増え30~35%、2020年先進医療が終了する頃は43%、その後、35%前後と多焦点希望の方が多く、現在までに約3600眼の治療を行いました。
秦 おー凄いですね。当院では多焦点の比率は毎年全レンズの内15〜20%の範囲です。適応を拡大すると、不満症例を増やすことになり、患者さん側、医師側お互いに疲弊するので、私の中では良い比率だと考えています。
加藤 うちも20%くらいです。
大内 当院も一緒です。以前はお断りしていた、「白内障は殆ど無いけれど老眼を治したい」と言う目的で手術を希望される方も、レンズの選択肢が増えたので、対応することもあります。
中村 藤本先生の35%以外は、ほとんどの先生が20%ですね。当院もそうです。希望者を全部多焦点にするともっと増えますが、秦先生が言われるように、ある程度適応を絞ることもこの手術には重要ですね。そうなると大体このくらいの比率になるのかと思っております。日本国内では多焦点は3%くらいと聞きますので、やっぱり我々のところには多焦点希望の患者さんが集まってくるのですね。
では、次の話題ですが、読者の皆さんが最も関心があることだと思いますが、先生方は現在、どのタイプのレンズを推奨していますか?
秦 以前は自費レンズの比率が高かったのですが、選定療養で使えるレンズの幅も増えてきており、現在は選定療養の三焦点レンズが80%を占めています。その中でも、新素材になったパンオプティクスの比率が高くなってきています。
加藤 私も選定療養ではまずパンオプティクス、より近方重視にはシナジーを薦めています。また、軽度の眼疾患やLASIK眼、ハロー・グレア気になる方にはビビティを薦めてますね。
大内 私もやはり3焦点のシナジー、パンオプティクスが多くなりますが、それは個々の患者さんのスタイルに合わせた結果、たまたまそうなってるだけで、これがベストという意味ではありません。意識・要求の高い人には、5焦点レンズのインテンシティもありますね。
秦 私もインテンシティは、遠くから近くまで安定した視力が得られており、多焦点の中では性能的にはひとつ頭がでていると思います。
また、ビビティは従来、多焦点に不向きな人(高齢者、初期の緑内障患者)にも良い成績が得られており、乱視レンズが加われば今後、使用が増えると考えています。
藤本 私も皆さんと一緒で、最近は選定の3焦点、連続焦点が多いですが、自費の5焦点インテンシティもお勧めです。
中村 やはり皆さん、3焦点を基軸に決められているようですね。そして、自費診療では5焦点。その中でどれを選ぶかは、それぞれの先生の考え方によって多少違いますが、それほど偏ってはいないようです。
では、次に移りますが、今後の多焦点の開発に期待することについて教えてください。
秦 近くより遠くの全ての明視域をカバーすることが理想ですが、残念ながら現在のテクノロジーでは難しく、未来の調節型レンズの発展に期待する一方、現在のテクノロジーの範囲では、明視域の広さに拘らず、デメリットを少なくしたレンズの開発を期待しています。
加藤 眼内レンズが簡単に入替え可能になるといいですね。そして、少しマニアックになりますが、水晶体の嚢の中ではなく外に固定する多焦点眼内レンズや、強膜内に固定または縫い付けて固定するレンズの開発を望みます。
大内 そうそう、それとても興味深いですね。あと、近視が強すぎるなど、メーカーから用意されているレンズ度数の範囲では間に合わない患者さんがいらっしゃるのと、乱視矯正モデルの無いレンズは、適応が狭くなってしまいやっぱり困りますね。
藤本 たしかにそれが問題ですね。いずれにせよ、欠点であるグレア・ハローを減らしつつ、近見視力の確保するレンズの登場が、多くの術者の望みですね。
中村 さすがに患者様ファーストのご意見でした。とにかく理想は20歳くらいの若い方と遜色ない性能の人工水晶体ですが、そのようなものが開発される日は来るのでしょうか。
では、最後の話題ですが、もし今ご自分が白内障になったとしたら、どのレンズを選びますか?
秦 少なからず眼鏡は必要にはなりますが、乱視用のレンズがラインナップされればデメリットの少ないビビティを選択します。
加藤 私はレンティスM+とレンティスM+Xのミックスアンドマッチです。
大内 おー、またまたマニアックですね。私は、興味のあるレンズが、今は多すぎて、絞りきれないです(笑)。少なくとも、両眼に同じレンズは入れません。眼が4つくらいあれば良いのに。
藤本 私は最近老眼は出てきましたが、まだ視力がいいので、矯正視力が落ちたら、3焦点か5焦点を希望します。
中村 やっぱり凄腕サージャンは自分の眼にもこだわりがありますね。我々が手術を受けるまでにはまだ時間がありそうですので、今後どんなレンズが開発されるかわくわくしますね。そして、誰に手術をしてもらうかですね(笑)
今日は興味深いお話をありがとうございました。

当院のほか、書店またはAmazonでご購入いただけます。

https://www.amazon.co.jp/dp/4344928032/
 

一覧に戻る

PAGETOP