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ロータリークラブ名古屋栄の第1418回例会で中村院長が講演を行いました

「人生を変える最新の白内障手術」と題して
最新の白内障手術事情について講演を行いました。

本日はこのような機会を頂いてありがとうございます。
先程皆さんとお話している時に、 白内障にならずに済む人もいるのかというご質問を受けました。80歳になると、100%白内障になります。長く生きていれば、必ず患う病気だと言えますので、少し興味を持って聞いて頂けたらと思います。

私は平成元年に中京病院で研修医としてスタートしました。当時はまだ科を決めていませんでしたが、そこで白内障手術と出会いました。手術翌日に患者さんが「こんなに良く見えるようになった」と喜んでくれる、これはやるしかないと思い、眼科医を目指しました。
日本の失明原因として一番多いのは緑内障です。次に 網膜色素変性症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、脈絡網膜萎縮と続きます。世界に目を向けると、失明原因のなんと半分が白内障です。日本では考えられませんが、白内障は失明してしまう病気と言われています。日本は医療が進歩して医療制度がしっかりしているので、白内障で失明する方はほとんどいないと思います。

本日は、人生100年時代と言われる現代の必要な事、白内障治療はアンチエイジングの治療だという事、最新の多焦点眼内レンズについての種類や選択、どんな方に向いているかについてお話していきます。この100年で寿命は2倍になっています。100年前の平均寿命は44歳、私が生まれた1961年でも70歳弱で、80歳というとかなり高齢だと思っていました。最近の80歳の方はまだピンピンしていて若いです。これは喜ぶ事ばかりでないです。2025年問題と言われていますが、日本は高齢化率が世界でトップ。団塊の世代が年を取り、2025年には全人口の18%が75歳以上となります。2055年になると65歳以上が40%に達します。道 を歩いている半分が65歳以上で、その中には認知症の方が含まれる、そんな時代がもう間もなくやってきます。一番大事なのは健康寿命を伸ばす事です。健康寿命とは、日常的・継続的な医療・介護に依存しないで自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間の事です。2019年の統計で、男性が72.68歳、女性 が75.38歳。ということは、私もあと10年位で平均的な健康寿命に到達してしまう。一人で旅行に行ったり楽しんだりする期間があと10年という事となり、健康寿命は非常に大切になります。ただ、平均寿命と共に健康 寿命も延びています。目指すべきは「元気な100歳」です。現在100歳到達の方は全国に9.2万人、2050年に なると68万人が100歳になりますが、健康な100歳であるためには視機能がとても重要です。白内障手術は、この健康寿命を延ばすアンチエイジング手術です。白内障手術をすると、まず歩行速度が速くなり、睡眠が改善し、QOLが向上するという研究結果が出ています。歩行速度が速くなり元気に動く事によって、コレステロール値が下がる等、色々な事に良い影響を与えます。また、目がスカッと見えるようになり抑うつ状態が改善する事によって認知機能も改善します。血圧の下降や体内時計が正常化して睡眠の質が向上する等の研究結果も出ています。白内障手術は「健康寿命」を延ばすアンチエイジング治療なのです。
白内障は加齢に伴う水晶体の混濁で、一般的に70 ~80歳で症状として現れます。ただ、「私、白内障になっています」と来院する患者さんはいません。かすみ目やぼやけ、眩しさ、疲れ目、眼鏡が合わなくなった等で、白内障に気付く事が多いです。目薬による治療は 気休め程度で、進行が少し抑制できる位の効果です。眼科の中で最も多く行われている手術が白内障手術で、年間180万件あり、近年最も目覚ましい進歩を遂げた手術です。眼の中に入れる人工レンズはほとんどがアクリル製で、劣化する事なく安全性が高いレンズ開発が進歩しています。昔は1cm位のメスを入れていましたが、今は 3mm弱の傷口で濁った水晶体を吸引出来ます。術後すぐに裸眼視力を確保出来て、入院も要りません。日帰り手術で手術時間も10分かかりません。麻酔は目薬で行うので痛みもありません。当院では両目一緒の日に手術が可能です。術後歩いて帰る事が出来る程、進歩しています。レンズの直径は6mm位の大きさが必要ですが、3mm弱の傷口から折りたたんで入れる事が出来るよう、非常に柔らかい材質になっています。
従来は単焦点眼内レンズを使用していたので、ピントを遠くに合わせると老眼鏡が必要でした。最新の眼内レンズは遠近両用が開発され、近視・遠視・乱視はもちろん、老眼も解決されるようになりました。今は60歳代で93%、70歳代で79%がスマホを利用している時代です。手元を見る時に眼鏡不要、ゴルフも裸眼で出来るようになれば、こんなに良い事はないですね。若い時に強い近視があっても、この手術を行うとそれも改善出来るのです。多焦点眼内レンズは遠く、近くの2カ所にピントが合うように加工されています。今は遠・中・近と3カ所にピントが合うレンズもあります。多焦点眼内レンズがどのような人に向いているか。白内障以外の目の病気がなく、おおらかな性格の方で、スポーツやアウトドアを楽しむ方や人前で眼鏡をかけたくない方、アトピー等によって若くても白内障を患う方がいますので、そんな方にもお薦めです。逆に、軽い近視の方やまだ白内障が進行していない方、細かな作業が好きな方や几帳面な方、自分の都合の良いように解釈される方は術後に「こんなはずじゃなかった」となりやすいので要注意です。何故か。多焦点レンズの方に点数を付けてもらうと、10点満点中8.1~8.4点です。100%ではないけど、まあまあ良いという見え方です。バシッと見えた方が良いという方は、単焦点レンズに眼鏡をかけた方が良いです。モヤッとした感じや夜、光を見るとギラギラ見える事が起きうるので、夜車を運転される方は向いていないかもしれません。昼間は快適に過ごす事が出来ると思います。レンズの種類は沢山あるので、その方の眼に一番合ったレンズをお薦めします。主流はEDOFレンズ、3焦点レンズ、2焦点レンズの3種類ですが、生活の上で パソコンやお料理等の中間距離を見る事も多いので、 今はEDOFレンズ、3焦点レンズが多いです。EDOFレンズは先程の夜のギラギラが少ないですが、手元を見る時は老眼鏡が必要です。
桂新堂 7代目社長の光田さんが手術され、体験文を書いて頂きました。桂新堂さんはマラソン部があって、ご自身も走っていらっしゃるスポーツマンです。「ふと空を見上げた時の青さが目に染みるような感動。あの日の夕映えの美しさは、得も言われぬものがありましたね。その後も、樹々の緑を見ただけで嬉しくなる日々です。眼が若返ったことで、心も若返る手術なんですよ」と。まさにアンチエイジング、もう1回頑張れると思える状況を作る事が出来る手術だと思います。
本日お配りした本は、出来立てほやほや、4/1発刊の白内障治療 改訂版です。3年半前に第1版を出して1万部を販売、学会で集まった凄腕の5人の医師で作りました。1人の医師が言う事は偏ってしまう事が多いですが、5人で作っているので、これを読んで頂ければ白内障の事が分かって頂けると思います。ぜひご覧ください。まだ白内障になっていない方もこの先患う事がありますので、その時には最新の白内障手術で、快適な視生活を取り戻し、健康長寿を目指しましょう!そしてロータリーの活動も元気に行って頂けたらと思います。ご清聴ありがとうございました。
 

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