最短での
手術スケジュール
- 角膜クロスリンキング
- 12月上旬
円錐角膜治療は、
進行予防治療と
屈折矯正治療
に分けられます
円錐角膜とは
角膜はカメラに例えるとレンズに相当する部分です。その角膜が弱いために眼球の内側からの圧力に耐えきれず、角膜が外側に向かって飛び出てくる病気です。角膜が突出するとともに薄くなり、歪むことにより様々な支障が出てきます。円錐角膜の研究は進んでいますが、はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、年齢としては10~20歳代で発症することが多い病気です。円錐角膜は若いほど進行しやすく、進行とともに裸眼、矯正視力が低下していき、次第にメガネでは矯正出来なくなっていきます。またアトピー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎があり目を擦る癖のある患者さんは、病気が進行しやすくなります。
- 担当医
-
セルフチェック
0個:問題なし
2個以上:円錐角膜の可能性があります。放っておくと、円錐角膜になってしまう可能性がありますので受診をお勧めします。
- 円錐角膜と診断されたら、すぐに手術が必要ですか?
- 円錐角膜と診断されても、一刻一秒を争う病気ではないので慌てなくても大丈夫です。
診断後、重要になってくるのは、円錐角膜がこれからも進行する可能性があるのかどうかという点です。
円錐角膜治療
円錐角膜治療は、①進行予防と②視力矯正という2つの柱があり、この両方の目的を叶える効果的な治療方法はないため、どちらの目的で治療を行うかを患者さん自身でしっかり理解する必要があります。
※ただし、一つだけ例外としてカスタム角膜クロスリンキングという画期的な手術治療があります。カスタムクロスリンキングは、進行予防と角膜の形を改善することによる視力向上という効果を兼ね揃えています。
治療方針
ただし、一つだけ例外としてカスタム角膜クロスリンキングという画期的な手術治療があります。カスタムクロスリンキングは、進行予防と角膜の形を改善することによる視力向上という効果を兼ね揃えています。
当院では、生涯にわたって起こりうる様々な問題に対して多様な治療オプションを揃えています。
円錐角膜治療の流れ
- 病気の進行を止めるために、食べ物など日常生活で大事なことはありますか?
- 食べ物で円錐角膜の進行が止まるということはありません。
- 円錐角膜を放っておいたら失明するの?
- 円錐角膜で失明することはありません。なぜなら円錐角膜は角膜の病気で、その他の病気を合併している場合を除いて、光を感じる網膜やそれを伝える視神経は正常だからです。
ただし、非常に重症で角膜の形状がひどくハードコンタクトレンズでほとんど矯正できない場合や、急性水腫といって角膜の内側が破れることで角膜に濁りが残ってしまう場合には、社会的失明(0.1以下)と呼ばれる状態になることがあります。
健康保険適応外
角膜クロスリンキング
(角膜の上皮を除去しない
エピオンカスタムクロスリンキング)
かつては角膜表面の上皮と呼ばれる膜を剥がして行う方法を採用していましたが、2018年からは角膜上皮を温存するエピオンカスタムクロスリンキングが可能になりました。それにより痛みなど患者様の負担が少なく、感染のリスクも低下しより安全な手術に進化しています。
通常の角膜クロスリンキング (角膜全体に同じエネルギーの紫外線を照射)
カスタム角膜クロスリンキング(角膜の病変部に異なるエネルギーの紫外線を照射)
- モザイクシステム
- 米国アベドロ社のモザイクシステムを導入。
角膜の弱くなっている部分だけに紫外線の照射を行い、より強いクロスリンキング効果を起こさせるようにすることで、進行予防と角膜形状の改善ができるようになりました。
- 費用
-
日本ではまだ厚労省未認可であるため、当院では倫理委員会の承認を得た上で、自費診療で治療を行っています。
片眼:275,000円(税込)
- リスク
- 大きな合併症はほとんどなく安全な治療法ですが、稀に感染症、無菌性炎症などのリスクがあります。また進行予防効果は90%程度と高いですが、中には再進行や無効例の報告があります。
角膜クロスリンキングの
手術の適応
角膜クロスリンキングは以下のような進行が疑われる場合に必要となる治療です。
1個以上:手術適応となる可能性がありますので
主治医の先生に相談してみましょう
- カスタム角膜クロスリンキングをしたら、元通りの正常な角膜に戻りますか?
- 完全に元通りとはなりません。現状より少し角膜の歪みが弱くなると考えてください。
角膜クロスリンキングは、進行を止めることが主目的で、十分な視力回復を目指す治療ではないことをご理解ください。
- 角膜クロスリンキングが失敗することはあるの?
- 円錐角膜の進行が止まった場合を成功、進行が止まらなかった場合を不成功(失敗)と考えています。ある研究によると、1回の角膜クロスリンキングで約90%の患者さんが成功したと報告されています。ただ、10%の患者さんは、治療が効かずにそのまま進行してしまうか、一時的には有効でも時間が経って進行してしまうことがあります。
各種コンタクトレンズ
円錐角膜が進行すると、ハードコンタクトレンズでの視力矯正が必要になります。軽症の方から重症の方まで対応できるように数種類の円錐角膜用コンタクトレンズを扱い、どうしてもハードコンタクトレンズに馴染めない方には、ソフトコンタクトレンズの上にハードコンタクトレンズを乗せるピギーバックという方法を用います。これで多くの方は異物感なく装用することができます。
それでもうまくいかない方には、後述する強膜レンズや不正乱視矯正用のソフトコンタクトレンズ(ユーソフト、日本で認可された不正乱視矯正用ソフトコンタクトレンズ)を処方することもあります。
- 以前よりもコンタクトレンズが見えにくくなってきました。
- ハードコンタクトレンズが変形することは考えにくいので、角膜の状態が変わってきた(円錐角膜が進行した)と考えるのが自然ですので、眼科の受診をお勧めします。
また、円錐角膜が進行していなくても、角膜が濁ってしまうと見えにくくなります。角膜の突出部位がコンタクトレンズと擦れやすく、日々それが続くと濁りが生じます。
角膜にできるだけ負担がかからないようなコンタクトレンズに変更するか、ピギーバックが有効です。
- ピギーバックってなんですか?
- 度なしのソフトコンタクトレンズを装用した上からハードコンタクトレンズを装用、つまり2枚重ねにすると硬いレンズが直接角膜に当たらなくなるので装用感が劇的に改善します。
ソフトコンタクトレンズはワンデーのものを使うのが一般的なので、その分費用がかさんでしまうというデメリットがあります。
円錐角膜対応の
ソフトコンタクトレンズ
ユーソフト健康保険適応
- メリット
- ハードコンタクトレンズに比較してのメリットは装用感がよいこと、簡単に外れないことです。
国産レンズ、診察は健康保険適応
- デメリット
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- ・レンズが厚いので酸素不足になりやすいため、あまり長時間の使用は控えて頂くようにお話ししています。
- ・外しにくいことです。
通常のソフトコンタクトトレンズのように、つまんで外すことは不可能で、ハードコンタクトレンズのように上下のまぶ たで挟むようにして外します。
- 患者様の声
- ハードコンタクトレンズの異物感で悩まれていた患者さんでは、かなり楽になったと言われることがほとんどです。
- 片眼:38,500円(税込)
- 両眼:77,000円(税込)
特殊コンタクトレンズ
強膜レンズ健康保険適応外
- 特徴
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- ●角膜に触らず強膜(白目の部分)で支えるために、通常のハードコンタクトレンズと異なり異物感がほとんどありません。
- ●強膜レンズは自然に外れることが基本的にありません。
- 処方例
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- ●若いうちは問題無く通常のハードコンタクトが装用出来たけど、年齢とともに眼がすぐに痛くなり、乾燥感が強く装用できないような場合
- ●円錐角膜の重症度が高く、どうしても長時間ハードコンタクトレンズが装用出来ない場合
- ●強膜レンズは外れることが基本的にありませんので、仕事内容などで通常のハードコンタクトレンズが装用しづらい方
- 見え方
- 通常のハードコンタクトレンズと同等で通常のハードコンタクトレンズの視力が不十分な場合は、やはり強膜レンズでも視力は改善できないことが多いです。
- リスク
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- ●白目が充血する可能性があります。白目(強膜)の表面には結膜の血管が豊富にあります。強膜レンズは角膜ではなく白目(強膜)にレンズが固定されるため、装用中は血管を少なからず圧迫します。その影響でレンズを外した際に一気に血流が流れ白目が充血したように見えることがあります。レンズの装用を中止すれば戻りますが、使用中は充血が気になる可能性があります。
- ●角膜への酸素供給量が通常のハードコンタクトレンズより低下する可能性があります。使用している素材は通常のハードコンタクトレンズと同等あるいは酸素透過性が良い素材を使用していますが、角膜とレンズの間に生理食塩水(涙液)が貯留しますので、通常のハードコンタクトレンズよりは酸素の供給量が減少する可能性があります。ただ水中にも酸素は溶け込み角膜に供給されるため安全に使用することは可能です。
ハードコンタクトレンズよりも視力が落ちる可能性があります。ハードコンタクトレンズはレンズ本来の矯正の側面以外にも角膜の形を変えることができる効果があるため視力が向上します。強膜レンズは生理食塩水(涙液)でレンズを形成しますので角膜の形は変わりませんが、角膜に触れないため装用感の向上が期待できます。 - ●レンズの洗浄・ケア方法を怠ると角膜感染症になる可能性があります。正しいケア方法を実施すれば起こる可能性はほとんどありませんが、レンズの洗浄を怠ったり、ケースを交換せず長期間同じケースを使用する場合にはリスクを生じます。
取り扱いレンズ
ミニスクレラルレンズ
- メリット
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- ●眼が小さい方でも、装着しやすい。
- ●ボストンレンズより価格が抑えられている
- デメリット
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- ●重症の円錐角膜には向かない
- ●ボストンレンズのようにデザインを自由に変更することが出来ない
- 費用
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- 片眼:140,000円(税込)
- 両眼:280,000円(税込)
新規の方は上記金額が3か月間の診察料込み
既存の方で新しく作成する場合は1枚80,000円(税込)
ボストンレンズ※最近は正式にはPROSEと呼ばれます。
- 特徴
- 強膜レンズと言ったら、ボストンレンズというほど歴史のあるレンズです。小島医師がボストン留学中に学び、日本に導入した特殊コンタクトレンズです。
現在名古屋アイクリニックはボストンレンズ処方のアジアでの拠点となり海外からの患者さんにも処方しています。
- メリット
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- どんなに重症な方でも載せることが出来るほど、デザインを自由に変更できます
- デメリット
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- ・高価格である
- 費用
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- 片眼:300,000円(税込)
- 両眼:550,000円(税込)
新規の方は上記金額が1年間の診察料込み
既存の方で新しく作成する場合は1枚120,000円(税込)
角膜内リング
角膜内リングは、名前の通り角膜の中に固いプラスチックのような素材のリングを入れることで、円錐角膜の歪みを矯正する方法です。
- メリット
- 手術により円錐角膜の突出が緩和されますので、ハードコンタクトレンズが装着しやすくなります。軽度円錐角膜の場合は、裸眼視力の改善が見込めます。
- デメリット
- 角膜内リングがどの程度効果があるかは、やってみないと予測がつかないことです。最近は、様々な研究によりある程度角膜の形によって判断できますが、劇的に良くなる方もいれば、改善が限定的な方もいらっしゃいます。
- 術後に気をつけること
- 目を擦る癖がなかなか治らない方やアレルギー性結膜炎が強い方は、手術後にリングの位置がずれたり、炎症で角膜からリングが飛び出してしまうことがあります。そのため角膜内リングを施す前に、アレルギーの治療をしっかり受けることが重要です。
※角膜クロスリンキングと名前が似ていますが、角膜内リングは角膜の形を整える治療であり、角膜クロスリンキングのような進行予防効果はありません。
- 費用
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日本ではまだ厚労省未認可であるため、当院では倫理委員会の承認を得た上で、自費診療で治療を行っています。
片眼:242,000円(税込)
CAIRS(ケアーズ)
カスタム角膜クロスリンキング、角膜内リング、角膜移植と同様、角膜形状を改善する手術です。
- メリット
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- •角膜内リングの様に眼を擦っても飛び出すリスクが無い
- •角膜内リングより角膜の中層に入れることが可能なため、角膜前面形状をより改善可能
- •角膜内リングと比較して、角膜形状変化がスムーズ(移植片なので周辺に馴染む)
- •角膜移植より回復が早い(1ヶ月以内に回復)
- •保険治療が可能
- デメリット
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- •ドナー角膜が必要
- •長期成績が無い(12ヶ月程度)
- 費用
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約200,000円(税込)
- ※3割負担の方が国内ドナーで手術した場合
- ※海外ドナーの場合は費用が異なりますので、お問合せください。
角膜移植
薬品やコンタクトレンズによる治療で効果が得られない時に行われるのが角膜移植です。
角膜移植は、亡くなられた方の健康な角膜を移植して、病気や傷害のある角膜と取り替える治療方法です。
今までは角膜の全層を取り換える手術が主流でしたが、円錐角膜は角膜内皮細胞は悪くないので、その部分だけを残して行う深層移植DALKという方法を行います。
最近ではフェムトセカンドレーザーを用いて角膜を切開して移植を行っており、より正確な手術が行えるようになってきています。
円錐角膜は移植後の成績は良いといわれていますが、移植片にも寿命があり15年で40〜50%の方が再移植が必要です。また角膜移植手術後は乱視のためにコンタクトレンズが必要になる場合があります。ドナー角膜は国内及び海外(アメリカ)から提供されます。
- 角膜移植をすれば、円錐角膜は完治するの?
- 角膜移植は視力を大幅に改善させる治療法ですが、角膜全体を取り替えることができないため、角膜に歪みが残ったり、円錐角膜が再発することがあり完治とは言えません。
このため、角膜移植後も長期の経過観察が必要です。
- 費用
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- 片眼:180,000円(税込)
※3割負担の場合
※海外ドナーを希望する場合は、別途、角膜代を頂戴します。
コンビネーション治療
以前はコンタクトレンズしか視力矯正方法が難しかった円錐角膜ですが、いくつかの治療を組み合わせることで、以前では考えられなかった、円錐角膜でも裸眼で過ごせることも可能になってきています。
- レーシックやICLなどの手術をして裸眼で見えるようになりたいのですが、可能でしょうか?
- 円錐角膜の患者さんは角膜を削るレーシックは禁忌(タブー)とされています。
ICLは近視と通常の乱視(正乱視)の矯正しかできませんが、角膜内リングは、角膜不正乱視は矯正できても正確に近視を矯正することができません。
この2つの手術を組み合わせて行うことで、できるだけ裸眼で過ごすことができるように視力矯正する方法がコンビネーション治療です。
治療の対象となるのは、軽度から中等度の円錐角膜で、重症の円錐角膜には不向きの治療です。
- 治療例
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- ・角膜リングで角膜の不正を矯正した後に、残った乱視や近視をフェイキック(ICL)で矯正します。
- ・若年の方には、せっかく矯正した度数が変化しないように、予防的に角膜クロスリンキングを行う事もあります。
円錐角膜白内障
白内障は、水晶体が濁って光が目の奥へ通りにくくなり、見えにくくなる病気です。
円錐角膜の患者さんが白内障になると、円錐角膜による見えにくさに、白内障による見えにくさが加わり、普通の患者さんより見えにくくなります。
- 白内障手術を受けると円錐角膜も良くなりますか?
- 白内障手術を受けても良くなるのは水晶体だけですので円錐角膜は良くなりません。
このため、白内障になる前くらいの見え方までしか、視力は改善しません。
- 円錐角膜でも乱視矯正付きの眼内レンズや多焦点眼内レンズを選択できますか?
- 術後にハードコンタクトレンズを使う予定のない方は、乱視矯正付きの眼内レンズを選択できます。また、円錐角膜を発症していると、いくら軽症であっても多焦点眼内レンズを使うことはできません。
もし仮に、円錐角膜の患者さんが多焦点眼内レンズを入れた場合、近くも遠くも見えにくくなるなど、症状の改善どころか悪くなることが考えられます。
- 単焦点眼内レンズの場合、ピントを遠くか近くかどちらに合わせたらいい?
- 白内障手術を受けた後もハードコンタクトレンズを装用する患者さんは、ハードコンタクトレンズでカバーできる程度の近視に合わせるのがセオリーです。