コンタクトレンズ不耐症
コンタクトレンズ装用者は日本国内で1500万人。
ドライアイ症状が不満足の原因として最も多く、12%の方は5年以内に装用中止に至っています。コンタクトレンズが合わない、あるいはドライアイやアレルギーにより日常的に使用が困難な状況をコンタクトレンズ不耐症といいます。
コンタクトレンズの使用方法を正しく守らないと、重い目の病気に至ることがあります。早期に治療すれば、多くの場合大事には至らずにすみますが、甘く見て放っておいたりすると症状が重くなり、治療にたいへんな時間を要することになります。
少しでも異常を感じた時は、すぐにレンズを目からはずし、定期検査のスケジュールに関わらず、直ちに眼科医に相談するようにしてください。
当外来ではその原因を専門的に調べ、より良い治療法および患者様に合ったコンタクトレンズをご提案いたします。
- 担当医
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こんな使い方
していませんか?
手を洗わずにコンタクトレンズの装脱をする
手についた病原菌が、コンタクトレンズやケースを汚染し、感染症のリスクが高まります。
コンタクトレンズに触れる前に石鹸で手を洗い、きれいなタオルなどで水分を拭き取りましょう。
終日装用レンズをつけたまま眠ってしまう
寝ているときはまばたきをしないので、十分な酸素を取り入れられません。その分、涙も不足するため目の表面が乾燥します。
たとえ30分ほどの短時間であっても、コンタクトレンズをしたまま昼寝をするのは避けてください。
レンズケースが汚れていても気にしない
せっかくきちんとレンズケアを行っても、保存しておくレンズケースが不衛生な状態だとレンズに再び雑菌が付いたりすることがあり意味がありません。
またレンズケースに何日も古い保存液を入れっぱなしにしておいたり、水分が残って湿った状態にしておくと、雑菌が繁殖してしまうことがあります。
新しいボトルを開封するごとに新しいレンズケースと交換することをおすすめします。
こすり洗いをおすすめします
こすり洗いは、つけおき洗浄よりも強力な洗浄方法です。
指先でコンタクトレンズをこすることにより、目の分泌物であるタンパク質や脂質を落とし、また微生物も1000分の1程度に減らすことができます。
交換期限が過ぎたレンズを使っている
期限切れのコンタクトを使うと、主に感染症のリスクが高まることが考えられます。
汚れが付着しているものや酸素透過率の低いコンタクトを装着し続けると、場合によっては目に細菌が入り感染症を引き起こす可能性や、角膜を傷つけたり視力が低下するリスクがあります。
レンズの保存に水道水を使っている
水道水には微生物が含まれている可能性があり、感染症などを引き起こすことがあります。
また、ソフトコンタクトレンズに水道水が付着することで、レンズの変形や変色の原因になることがあります。
眼科に定期受診せずにカラコンを使用している
処方時に一度だけ眼科へ受診したきりで定期検診を受けていないと、自分の目に合わないレンズを使い続けたり正しい知識がないまま間違った方法で使ったりする恐れがあります。
カラコンのなかには、国の安全基準を満たしていない商品が販売されていることがあります。安全基準を満たしていないカラコンは、酸素透過率が低く目に負担をかけることもあります。
このようなカラコンを装用し続けることで目の酸素不足を引き起こし、眼障害や失明のリスクを高めてしまいます。
セルフチェック
1個以上当てはまる方はコンタクトレンズ不耐症(※)の可能性があります。
当外来ではその原因を専門的に調べ、より良い治療法および患者様に合ったコンタクトレンズをご提案いたします。
※コンタクトレンズが合わない、あるいはドライアイやアレルギーにより日常的に使用が困難な状況
主な原因と治療法について
- ドライアイ
- コンタクトレンズ装用に伴う不快感の原因としてドライ症状が最も多いのですが、その原因を眼表面のどこに問題があるか診断し、人工涙液やヒアルロン酸、ムチン分泌を促す点眼薬・涙点プラグ・マイボーム腺マッサージ等を用いてより効果的に治療していきます。 また、必要があればドライアイを生じにくい含水率の低いコンタクトレンズ等へ変更を行います。
- アレルギー
- 眼のアレルギーを疑う際、涙でアレルギーの有無を調べる検査が可能です。このうち、コンタクトレンズに付着したゴミやタンパク質などの汚れに起因するアレルギーに対しては、必要な治療を行った後、1日使い捨てタイプのレンズや汚れが付着しにくいレンズに変更することをおすすめします。
その他季節性・通年性アレルギー性結膜炎については、点眼治療のほか、採血検査でアレルゲンとなる原因を特定し、回避法を個々にご提案致します。なお、スギ花粉症の患者様には、ご希望があれば舌下免疫療法を行うこともできます。
主な原因と治療法について
当院では、通常のコンタクトレンズから円錐角膜をはじめとする特殊コンタクトレンズまで幅広く対応しており、その豊富な経験と体制から、患者様の状態により適したコンタクトレンズを考え処方いたします。
ソフトコンタクトレンズでは、ドライアイやアレルギーになりにくいシリコーンハイドロゲルレンズや、近年登場したそれに準ずるレンズも豊富に揃えており、その中から自分に合うレンズを購入前に複数試していただくことが可能です。 最終的にどのコンタクトレンズが最も合うのかは、何度かトライアンドエラーを繰り返す必要があり、ドライアイやアレルギー性結膜炎を合併している場合は、症状が改善するのに時間を要する場合があります。
コンタクトレンズを
購入したい
コンタクトレンズは高度医療機器といい、医師の指示のもと処方する医療機器です。コンタクトレンズの取り扱いを誤ると、目に重大な合併症を起こすこともあります。
昨今、コンタクトレンズをインターネットや量販店にて自身で購入されて、目の検診を受けず、重篤な合併所を起こしてからようやく眼科を受診される患者様が問題になっています。
そのため公益社団法人日本眼科医会が主催する高度管理医療機器等・特定管理医療機器販売及び貸与営業所管理者講習会においては、処方箋のみの診療は推奨しないと言われております。
処方箋を発行後は購入したコンタクトを持参(空箱でも可能)し、目の継続的な検診を受けていただけるのであれば処方箋を出すことは可能ですが、もし受診がない場合には患者様自身の責任になることをご了承下さい。
また処方する際にはトライアルレンズ(テストレンズ)を使用した検査が必要になるため、ご希望の種類の処方ができない場合がありますのでご了承ください。